訪問診療と訪問看護の違いとは?診療内容やメリット・デメリットを比較

訪問診療と訪問看護の違い

在宅医療というと様々な形で、居宅や施設に訪問する場合があります。

訪問する職種も多種多様で、医師や看護師などが訪問します。

その中でも今回は、訪問診療と訪問看護の違いについて説明していきたいと思います。

 

目次

看護師に聞いた訪問診療と訪問看護の違い

訪問診療とは、週に1回や月に2回などと曜日などを固定し決まった日に施設や自宅などを訪問し、定期診療を行うことをいいます。日頃の健康状態をチェックしたり、内服を処方したり、定期的な検査を行ったりします。医師と看護師のペアで行くことが多いですが、施設等の場合、施設に看護師が在中している場合などは医師のみで行く場合もあります。

訪問看護は、訪問看護ステーションより看護師等が療養を必要とする方の自宅または施設に訪問することを言います。簡単にいうと定期的に医師が診察に行くか、看護師等が訪問しケアするかということになります。

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訪問診療と訪問看護を比較した際のメリット

訪問診療の場合、定期的に医師が訪問するため患者の状態が分かる

訪問診療は週に1回や月に2回などと訪問回数が決まっており、定期的に医師が訪問し診察してくれます。多くはクリニックの医師が行っている場合がほとんどですので、必要であれば採血などの検査や処方なども行います。

定期的に訪問しているため、医師は患者の状態をよく理解されています。そのため、小さな変化にも気づきやすく、急変などにもすぐに気がつきます。

訪問診療では、急変時の対応も行ってくれる。

訪問診療では、急変時の場合医師がすぐに訪問し対応してくれる所もあります。

しかし在宅の場合、急変したからといって処置できる物品がないため、結局は病院にいってもらう必要があります。

また訪問医はクリニックとかけもちで行っている場合がほとんどなので、体調不良時にはそのクリニックを受診し検査を行ったりすることも可能性です。異常があれば再度訪問したり、クリニックを受診してもらい、追加検査や診察を行ったりもします。

さらに在宅で手に追えない場合には、入院が必要と判断され、紹介先の病院を探してくれます。基本的にはかかりつけの総合病院があるので、そちらに紹介状を書いてもらい受診してもらいます。総合病院としっかりと連携が取れているからこそ可能になるのです。

急変時、在宅にて家族が救急要請をしたとしても総合病院にもかかっており、近況も連絡しているので、総合病院側は状況が判断出来スムーズに受け入れを行ってくれます。

自宅に訪問してくれる

高齢者になると、定期的な内服や基礎疾患の検査のため定期的にクリニックや病院にかからないといけません。しかし、高齢者の場合すべての人が足腰がしっかりしているわけではなく、定期的に受診することが困難な場合もあります。

なかなか受診できないと、内服が切れてしまったり、検査が出来ておらず知らぬ間に基礎疾患が悪くなっているという場合もあります。

その点、訪問診療では医師が直接自宅や施設等を訪問してくれるため、自分から出向かずに診療を受けることが出来ます。

訪問看護は患者へのケアを行える

訪問診療の場合、医師の診察を受けることが出来ますがケアや処置を行ってくれる時間はなかなかありません。

しかし訪問看護の場合、看護師が訪問するため入浴介助や清拭などの清潔ケアやストーマ交換などの排泄ケアなどを行うことができます。ケアに必要な時間を前もってプランニングしてから訪問するため、焦ることなく対応することが出来ます。

訪問看護は患者に合わせて、訪問看護ステーションで他の訪問看護師と共に介護点数内でどのようなケアや処置が必要かをプランニングします。介護点数は介護度によりそれぞれ異なるため、患者それぞれにとって1番必要なプランを考えなくてはならないのです。

事前に準備されているため、その方にあったケアなどを行えるなのです。

訪問看護は訪問回数が多い

訪問看護では介護度により介護点数が決まっており、介護点数に合わせてケアや訪問回数、時間などが決定します。訪問回数は患者によって様々ですが、週に1回以上は訪問するようになります。

基本的に訪問看護を依頼する患者の場合、介護度が高く家族の負担も大きいため、訪問回数は家族と相談しながらですが、必然的に多くなります。訪問回数が多いと利用者さんの変化にも気づきやすいため、ちょっとした異常にも気がつく事が出来ます。

訪問回数が増え、患者との関わりが多くなることで、訪問診療とは違い早期発見に繋がります。また、家族に関わる時間も多いため、家族にとって負担がかかっていないかなどにも気づきます。

訪問診療と訪問看護を比較した際のデメリット

訪問看護は急変時、かかりつけ医に報告·確認などが必要

訪問看護の場合、訪問するのは看護師であるため診察をすることはできないのです。

全身状態を確認して異変があれば、かかりつけ医に報告し指示を仰がないといけないのです。しかし、訪問診療では医師が訪問し診察するため、異変があれば医師の指示ですぐに検査などを行うことができます。

場合によっては、入院を必要とする場合には医師対応していれば、すぐに紹介状と共に医療機関を受診することが出来るのです。訪問診療では、スムーズに対応出来ますが、訪問看護だと看護師判断が出来ないため、対応が遅れてしまうこともあります

特に訪問診療は医師との相性に関わる大事

訪問看護の場合、受け持ちの看護師と反りが合わないと思った場合、ケアマネージャーに相談すれば担当を変えてもらうことは出来ます。しかし、訪問診療の場合にはなかなかかかりつけ医を変えることは難しいのです。

例えば、総合病院で末期癌と宣告され緩和ケアのため、総合病院から自宅に帰るとします。その場合、総合病院で退院前にカンファレンスが行われ、総合病院の医師と看護師、在宅医、訪問看護師、ケアマネージャーなどが集まり話し合いを行い、在宅での対応についてなどを考えます

在宅医は在宅での医療面を担い、総合病院の医師と連携を取りながら診療を行うため、1度在宅医を決めてしまうと引き継ぎや連携等の兼ね合いで合わないからという理由だけで変わることは難しくなるのです。

訪問看護は指示書がないと動けない

訪問看護では、医師からの指示書を元に患者にあったプランを立案し、ケアを行います。

つまり、医師からの指示が必要なのです。訪問診療の場合、診察の際に看護師も一緒に訪問していることが多いため、処置などは訪問診療の際に行ってもらうほうが早い場合もあります。

しかし、訪問診療は訪問看護に比べると訪問する日数が少なく、1件辺りにかける時間も短いので、なかなか処置などをお願いするのは困難な場合も多く、結局は訪問看護にお願いしてと言われることも多々あります。

訪問診療の時間は短い

訪問診療の1件辺りの時間は15分から長くても30分程度です。1日に数件回るため、一患者辺りにかける時間はどうしても短くなってしまいます。

特に施設などに訪問する場合には、1度に全員を診察するのは難しいため2日間に分けて診察を行ったりもします。

私が勤めていた所では、施設の場合先に看護師が訪問しバイタルサインと患者の状況を確認し、後から医師が訪問し看護師からの報告を元に診察を行っていました。そうすることで診察がスムーズに行え、全ての患者を把握することができていました。

 

看護師が訪問診療に同伴するケースも多い

訪問診療と聞くと医師だけが訪問するように捉えられがちですが、多くは看護師とペアで行動することが多いです。訪問診療の母体にはだいたいがクリニックの所が多く、午前診療の後に訪問先を回ったり、クリニックが休みの日に訪問するところもあります。

診察の際には必ず看護師が一緒に対応

訪問の際には、様々な物品が必要なため準備も必要です。医師は診察道具(聴診器や舌圧子など)、看護師は処置道具(点滴や採血道具、検査道具、カルテなど)を持っていきます。

大抵が車で訪問先を回ることが多いので荷物を積み込み、医師か看護師が運転して回るという所が多いと思います。

また、医師1人だけで居宅へ訪問する場合、何らかのトラブルの際に対応が困難になるからです。病院でもクリニックでも診察の際には必ず看護師が一緒に対応します。

訪問診療に看護師が同席する必要性

医師だけだとオーバーワークになってしまうということもありますが、医師の説明は患者にとって時には難しく理解しにくい場合もあります。患者側も医師からわかったかと問われると、分かっていなくても「はい」といっている方が多いのです。実際に診療後に「先生のお話分かりましたか?」と確認すると、分かっていない方は半分以上いるといっても過言ではありません。

そういった意味でも看護師が必要になるのです

[chat face="" name="ER看護師.png" align="left" border="gray" bg="none" style=""]以前務めていたクリニックの往診の際には、クリニックの午前診療終わりに、医師と車で5、6件ほどを訪問していました。訪問先は日により違い、老健施設や高齢者専用賃貸住宅の日もあれば自宅の時もありました。

訪問して、医師が診察し処方や検査、点滴などの指示を出します。看護師は指示に応じた検査や処置を行います。点滴などの場合、すぐには終わらないため訪問診療を全件まわり終わってから、再び訪問し抜針したりすることもあります。[/chat]

また、検査の結果が悪ければ、看護師が訪問し状態を確認し医師に報告した上で、指示を仰ぎ処置を行ったり、救急車を呼んだりもします。

訪問診療では、医師に対してかなりの信頼をもっているため、信頼関係を損なわないようにしなくてはいけないのです。様々な理由から訪問診療の際には医師と看護師のペアで行動するのです。

まとめ

訪問診療も訪問看護も居宅を訪問し、医師や看護師が診察やケアを行ってくれる便利なサービスです。在宅で生活していると患者も家族もなかなか外出するのが難しく、外出するにしても介護タクシーを呼んだり、介護ヘルパーに依頼したりしなくてはならないため一苦労です。

全てを訪問でというのは限界がありますが、訪問診療や訪問看護などの訪問サービスを上手に利用することで、在宅でも安心して過ごすことが出来ると思います。

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