健診の仕事

5分でわかる訪問看護とは|サービスの目的・対象者・費用などをくわしく解説

訪問看護とは

訪問看護(ほうもんかんご)とは、病気や障害などを持った方に対し主治医の指示のもと、看護師が自宅などを訪問し、病状の確認や点滴、医療機器の管理(胃瘻やバルンカテーテルなど)などを行うことを言います。

健康上の問題や生活上での障害がある方に対して行われるサービスであり、その方がより良い在宅での生活を送ることが出来るようにサポートする在宅医療の一種のことを指します。

ER看護師:Natsu
ER看護師:Natsu
看護師14年目の3歳児ママナース。 消化器外科、脳外科、泌尿器科、内科、クリニック等で勤務。 色々な経験をしたかったため、看護師2年目より検診、デイサービス、老健、往診などをダブルワークとして行う。 現在は救急外来看護師兼ライターとして活動中。 看護師としての経験やママナースとしての働き方などの実体験を元に執筆。

 

訪問看護の仕組みと目的

訪問看護は、病気や障害を持っていても自宅などで生活出来るように看護師が訪問し、自立への支援やその人らしい療養生活を送ることが出来るように手助けを行うことを目的として行われています。

訪問看護制度は、平成3年10月に老人保険法の改定により老人訪問看護制度が創設され、平成4年4月1日から在宅での寝たきりの高齢者等に対して、老人訪問看護が実施。平成6年10月1日より健康保険法等の改正により、老人医療の対象外であった難病児者、障害児者などの療養者に対しても、訪問看護が実施されるようになりました。

老人保険法、健康保険法などに基づく訪問看護サービスは、老人医療受給者のみではなく、すべての年齢の在宅療養者に対して訪問看護が提供できるようになりました

平成12年4月からは、介護保険法の実施に伴い、在宅の要支援者·要介護者等に認定された人に対して訪問看護の提供となり、介護保険からの給付が最優先になりますが、別に厚生労働大臣が定める疾病等は、医療保険における訪問看護の提供を行います

平成20年4月から、老人保険法による老人医療制度は、高齢者の医療の確保に関する法律による後期高齢者医療へ以降となり、老人訪問看護も後期高齢者医療制度へ引き継がれました。

 

訪問看護を受けるには?対象者は誰?

そもそも訪問看護ステーションとは?

訪問看護ステーションは、在宅においても安心して療養生活が送れるように保険·医療の十分な看護等の知識·技術をもつ看護職(看護師、准看護師、保健師、助産師)等が、かかりつけの医師と連携し、看護サービスを行う場所のことを指します。

誰が受けられる?

訪問看護の対象者は、居宅で療養が必要な状態でかつ訪問看護が必要と主治医が判断した方に適応されます。主治医が判断したのであれば赤ちゃんから高齢者の方まで、保険にかにゅうしていれば訪問看護を受けることができます。

利用者はどれくらい?

2018年の厚生労働省の介護給付費実態調査によると、訪問看護利用者数は1ヶ月あたり約42万人が利用しています。近年では利用者の割合は増加していて、今後も増え続けることが予想されています。

また、訪問看護の実施主体別にみると病院·診療所からより訪問看護ステーションからのサービス提供が多く、訪問看護ステーションの1事業所あたりの利用者実人員数は、68.5人となっています。

どんな時に活用するの?

病気や障害があっても住み慣れた家で過ごしたいや人生の最期を家族と共に過ごしたいと思うのは誰にでもある考えだと思います。しかし、在宅でとなると自宅で介護や医療的な処置が出来るのかが不安になりますよね。

だからといってずっと病院で過ごすわけにもいかないんです。こういった在宅での介護や基礎疾患があり独居ではなかなか暮らすのは難しいといった場合に役立つのが訪問看護です。

訪問看護を利用することで、医療的な処置は自分たちで行うことも少なくなります。

訪問看護にかかる費用はどのくらい?

費用は加入している公的保険によってことなります。

高齢者の多くは、介護保険を利用してサービスを受けていることがほとんどのため、1割から3割負担になります。

また、介護度によっても異なります。要支援の状態であれば、費用は高くなってしまいます。自己の状態や保険の種類を確認し、費用についてはケアマネージャー等に相談するようにしましょう。

 

訪問看護の主なサービス7つと詳しい内容

訪問看護には様々なサービスがあります。ここでは、7つ紹介していきたいと思います。

病状の観察

訪問看護において1番大切のが、病状の観察です。在宅では、医師や看護師が病院のように常にいるわけではないため、病状が悪化していても家族では気が付かない場合が多々あります。

その為、少しの変化にも気がつけるように家族と密に連携をとることが大切になります。病状に変化がみられる場合には主治医に報告し、往診してもらったり受診することが必要です。

日常生活の看護

訪問看護は、療養者の居宅に訪問しサービスを提供するため、日常生活に対するケアも必要です。

日常生活の看護として、入浴介助·全身清拭··手浴や足浴·洗髪·口腔ケア·食事介助や指導·排泄介助や指導··療養環境の調整と支援などのサービスがあります。

療養している方にとってどのレベルでの看護や支援が必要なのかを判断し、その方に合わせた看護や支援を行っていくことが重要になります。

医療処置や医療機器の管理

訪問看護では、居宅に様々な医療機器を必要とする方もいます。医療機器がないと生命の維持に関わる場合が多いからです。

どのような医療処置や医療機器の管理があるかというと、

  1. 呼吸器管理
  2. 在宅酸素
  3. 腹膜透析の管理
  4. ドレーン類(胃瘻や腸瘻、留置カテーテル等)の管理
  5. 吸引指導
  6. 褥瘡の処置や予防
  7. 排泄管理(自己導尿の指導、人工肛門や人工膀胱、浣腸や摘便)
  8. 点滴や注射·糖尿病の管理(血糖測定、インスリン注射)
  9. 内服管理

などのように様々な処置や管理があります。

在宅の場合、専門的な知識がない家族が介護しているため、日常における処置や管理が正しく行えているかなどを確認し、正確に行えるようにその方たちに合わせた指導を行っていくことが大切になります。

終末期(ターミナル)の看護

死ぬ時は住み慣れた自宅で家族に見守られながら死にたいと思う方がほとんどだと思います。がんで余命宣告をされていたり、その他の疾患でも手の施しようがなく緩和ケアの状態になった場合、在宅か緩和ケアの病院などの選択肢があります。

在宅に帰る場合、訪問看護師はかかりつけ医と連携を取りながら、急変時の対応や本人や家族の死生観についてを話し合い決めていかなければいけません。

認知症や精神疾患の看護

訪問看護では多種多様な利用者がいます。もちろん高齢で認知症のある方や精神疾患で悩んでいる方などもいます。

認知症や精神疾患患者の場合、内服管理がとても重要です。認知症や精神疾患の場合内服が出来ていないと症状の悪化に繋がります。きちんと内服が飲めているか、副作用がでていないかを観察しなくてはなりません。

また、利用者や家族の相談を聞き、内容に応じた対処法の指導を行うことも大切になります。

介護者の支援

訪問看護の場合、病院のように24時間看護師が看護できるわけではありません。限られた時間の中でしか訪問することができないため、直接の介護者である家族に対して不安を与えないように説明や技術の習得をしてもらう必要があります。

また介護者は専門的知識もなく、不安なこともたくさんあるため悩みなどの相談に乗り、介護者にとってなるべく負担を軽減できるように働きかけることも大切です。

介護者が倒れてしまっては困るので、負担が大きいようであれば訪問看護以外の社会資源の利用についての話をします。

リハビリテーション

寝たきり患者や高齢者の場合、運動量が少なく筋力がどんどん低下してしまうため、在宅において運動支援が必要になります。

寝たきりの人では、拘縮予防や現状の維持のためにリハビリテーションやマッサージなどを行います。

また、高齢者になると筋力が低下することで転倒にも繋がるため、筋力の維持や向上のためにリハビリテーションを行ったりします。転倒しない為にも、歩き方や日常生活での動き方などを指導したりします。

看護師に聞いた訪問看護のメリット

ER看護師:Natsu
ER看護師:Natsu
訪問看護の良いところは、その人自身のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が守られることが1番いい面だと思います。

以前訪問看護をしていた時に、とても競馬好きなお爺さんがいました。糖尿病性末期腎不全と網膜症、まだら認知症がありました。足腰がしっかりしているうちは家族と一緒に競馬場に行ったりしていたようです。

しかし、何度も転倒し腰椎の圧迫骨折をしてからほぼねたきりになっていたのです。訪問させていただくと決まってお孫さんの話、若い頃の話、競馬の話をしてくれました。

毎週日曜日になると競馬の中継をみているらしく、家族からもその時はイキイキしてるとのお話でした。「競馬見に行きたいな。」とよく話されていたため、どうにか競馬場に連れていけないかと考え、訪問看護ステーションで話し合いました。

訪問看護師が付き添ってというのはなかなか難しいため、家族の協力も得ました。今までは訪問看護に伺った時と透析に行く以外はほぼ寝て生活という状態だったため、家族に車椅子への移乗の方法を指導しました。

車椅子への移乗に慣れた頃、次は車椅子で散歩をすることを行い、徐々に日中でも寝ていることがほとんど無くなり、家族も自信がつき外出を増やしていき、競馬場に連れて行ってもらえたとのことでした。後日とても嬉しそうに話をされていました。

病院では、ここまで家族に指導することは難しく、訪問看護だからこそ家族と共に練習したりすることが出来ました

患者だけではなく、家族にも積極的に関われることで、その方のQOLを高めることが出来ました。その方に合わせたQOLを高めることは訪問看護だからこそできるのだと思います。

まとめ

病気があるからといって、ずっと入院していてはストレスも溜まり、その人らしい人生を送れていないと思います。

訪問看護では様々な看護や支援方法があり、その方や家族にとって必要とされる看護を提供することが出来ます。また、一緒になりその方にとって満足度の高いQOLを提供できます。

身の回りでも疾患に不安を抱えていたり、在宅で過ごしたいと思っている方や家族がいれば、訪問看護ステーションに相談してみてください。

 

[参考文献]

 

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ER看護師 Natsu
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看護師14年目の3歳児ママナース。 消化器外科、脳外科、泌尿器科、内科、クリニック等で勤務。 色々な経験をしたかったため、看護師2年目より検診、デイサービス、老健、往診などをダブルワークとして行う。 現在は救急外来看護師兼ライターとして活動中。 看護師としての経験やママナースとしての働き方などの実体験を元に執筆。