最近、健康について注目されるようになり、テレビでは毎日のように健康に関する特集が組まれています。しかし、どれほどの人が健康を気にし、健康になれるように取り組んでいるのでしょう?
『気にはしているけど・・・』という人が殆どだと思います。
実際に日本の寿命は世界的にみてもかなり長寿ですが、健康寿命は世界的にみると意外にも低いのです。
医療が発展し、保険の制度が確立されているため、何か症状が出れば病院に簡単にいけるからです。ここ数年~十数年の間に日本人は肥満体型の人が増えました。
メタボリックという言葉が浸透したのもその影響です。
このまま病気の人口が増加すると医療保険制度は破綻します。年金がどうなるかわからない今だからからこそ、健康寿命を延ばすことが大切になります。
今回は、健康寿命を延ばすために出来ることをお話したいと思います。
健康寿命とは何か?今注目される背景
健康寿命が注目されている背景
なぜ今健康寿命に注目されるようになったのでしょう。
皆さんもニュース等でよく聞く、医療保険がこのままいくと破綻してしまうことや年金を受給できなくなってしまうかもしれないということが大きな原因だと思います。
日本の医療費は、2018年度42兆6000億円と2年連続で過去最高を更新。国民1人あたりの医療費は33万7000円にも昇ります。年間にこれだけの医療費が使われているのですから、保険料も必然的に高くなります。
しかし、病気を患わない場合医療費は大幅に削減されます。より良い医療を受けるためにも医療保険が破綻しては困ることから、健康思考が強まるように国が推進しているのだと考えられます。
平均寿命と健康寿命の違い
寿命と聞くと、だいたいの人は平均寿命のことが頭に過ると思います。2018年の日本の平均寿命は、女性:87.32歳、男性:81.25歳と過去最高を更新しています。
日本人は長生きしてるんだなと思いますか?
亡くなるまでの間どれだけ医療を受けずに健康で、自分自身のことをできているのでしょう。
2016年の厚生労働省のデータによると、平均寿命から女性:-12.35歳、男性:-8.84歳をひいたものが健康寿命として記されていました。約10年程度の期間寝たきりや介護が必要な状態になっているのがわかります。
最近の国や行政の取り組みとは?
厚生労働省は健康寿命への取り組みとして、『2040年までに男女ともに健康寿命を3年以上延伸する』と2019年に発表しています。この取り組みがうまくいけば、男女ともに健康寿命は75歳以上になるとのことです。
社会保険の担い手である若い世代の減少に反比例し、高齢者は増加しています。このため、社会保険を圧迫しないためにも、高齢者は自分で動けて元気でいてもらわないと困るのです。
未病との関連性
健康寿命を延ばすためには、未病の状態から早期に対応することが大切です。「頭痛がする」「ふらつく」「血圧が高い」など未病を抱えている人はたくさんいると思います。薬を飲んでいれば治まるしや様子をみていたらマシになるから大丈夫とそのままにし、放置していませんか。
[chat face="ER看護師.png" name="Natsu" align="left" border="gray" bg="none" style=""]
病院に行くのがめんどくさいや時間がないといった理由で放置していると未病はいずれ病となりあなたに襲いかかってきます。そうなってからでは遅いのです。
まずは自分で対処するのではなくクリニックや診療所への受診をしてください。未病のうちに的確に対処することで、病気になるリスクを軽減することができます。
小さな積み重ねが、病気になることなく健康で長生きする秘訣です。
[/chat]
実際に心配性な人ほど少しのことで受診します。症状が出たときに受診することで、原因が見つけやすいため、早期発見に繋ります。逆にまあいいかと放置する人ほど重症化してから慌てる人がほとんどです。健康寿命を延ばすためには、未病のうちから受診することが重要です。
健康寿命が短いことによるリスク
医療費の負担がする増加
[chat face="ER看護師.png" name="Natsu" align="left" border="gray" bg="none" style=""]
看護師をしていて10年以上経ちますが、よく耳にするのが高齢者の「お金がないから受診出来ない」や「入院費を払えない」という声です。
年金があるでしょ?と最初は思っていました。しかし、国民年金の場合10万円にも満たない金額が支給されます。
[/chat]
ある70代の男性が、重度の脱水で熱中症と診断され入院が必要と医師から告げられました。
しかし、男性は『どうしても入院したくない』と言います。命に関わることだからと説得しますが、『年金が8万円しかなく、そこから家賃を払って生活はギリギリで入院費が払えないから帰りたい。』と言いました。
この男性の場合熱中症なので、単発の入院で済みましたが、もし糖尿病でコントロールが悪いとしたら年に何度も入院しなくてはいけません。
何十年も一生懸命働き、保険を払ってきたのにも関わらず病気になってもお金を気にして治療が受けられないなんでおかしいですよね。意外にも高齢者で年金生活の人が病気になると、国からの支援を受けるようになる人がたくさんいます。
家族への負担
病気になると家族への負担も大きくなります。
介護は想像を絶するほど大変です。介護は経験した人にしかその大変さはわかりませんが、介護に疲れ、命を絶ってしまう人がいるほどです。
[chat face="ER看護師.png" name="Natsu" align="left" border="gray" bg="none" style=""]
私も祖父が亡くなるまでの数年間介護に携わっていました。
看護師だから全然大丈夫でしょ。とよく言われますが、身内になると看護師という肩書きが役に立たないことを痛感しました。祖父は認知症の入り始めくらいで、糖尿病による腎不全で透析を行わなくてはいけたい状況でした。
『透析をしないと死ぬ!』という思いが強いため、夜中に急に起き透析に行くと聞かず、目を離すと徘徊するほどでした。誰かが常に見ていないといけない状況が続き、家族は疲弊。祖父は看護師だからと言っても、孫のいうことなどまったく聞きません。
家族の話も聞く耳を持たないため、制止するのが大変でした。
[/chat]
介護をしていて感じたのが、家族の話はなかなか聞いてもらえないということです。
それも合間って家族は介護に疲弊していくのです。病気になると、自分で出来ないジレンマからか我が儘になりがちです。看護師としてなら受け止められますが、家族になりずっと続くと疲弊していくのです。
大好きな家族に迷惑をかけて家族から笑顔が減るよりも、元気で楽しく笑い合うほうがいいですよね。
健康寿命と平均寿命の差は約10年|病気との付き合い方
健康寿命と平均寿命の差が約10年あります。つまり病気で自分自身で出来ることが減り、人の手を借りないと生活出来ない期間が10年ということです。
病気ということだけでも、長期化する治療、毎日の内服、病気の症状による苦痛でしんどいです。それひ付け加え、自身で出来ないことも増え他者を頼らなくてはいけないことにたいするジレンマが生じ、苛立ちを覚えます。
昔は出来ていたはずのことが簡単にはできないのです。それを10年続くと考えると嫌ですよね。
健康寿命について、平成13年と平成22年を比べると、男性は69.40年から70.42年へと1.02年、女性は72.65年から73.62年と0.97年延びています。一方、平均寿命をみると、同期間で、男性は78.07年から79.55年へと1.48年、女性は84.93年から86.30年へと1.37年延びています。また、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(平成24年1月推計)によれば、平成25年から平成34年にかけて、平均寿命は男性では80.09年から81.15年へと1.06年、女性では86.80年から87.87年へと1.07年とさらに延びることが予測されます。
健康寿命を延ばすためには私たちができる7つの習慣
バランスの良い食事
『食事は薬』などという本もあるくらい食事は大切です。
[chat face="ER看護師.png" name="Natsu" align="left" border="gray" bg="none" style=""]人の身体は食べることにより、頭と体を動かしています。栄養が十分に行き渡らないと、貧血になってしまったり、低血糖を引き起こしたりします。
また身体の中のミネラルのバランスが崩れると、様々な電解質以上が起こります。特に高齢者に多いのが、塩分を気にしすぎてほとんど摂取していないと低ナトリウム血症になり、ナトリウムの値が低くなりすぎると痙攣や意識障害を引き起こします。[/chat]
また逆に塩分を採りすぎると血圧が上がり、心疾患や脳硬塞などのリスクになります。バランス良く摂取していれば、このような問題が起きることも少くなります。
適度な運動
毎日運動を心がけていますか?ついつい楽な方を選んでいませんか。
きちんと筋肉を鍛えておかないと、病気になり寝ている時間が長くなると1日に2~3%の筋肉が衰えます。
[chat face="ER看護師.png" name="Natsu" align="left" border="gray" bg="none" style=""]例えば皆さんも経験があると思いますが、風邪をひいて1週間ほど寝て過ごしていると、なんだか身体が重くなった気がしますよね。
あれは、筋肉量の低下によるものも関係しています。高齢になるにつれ、自然と体力は落ちていきます。それに付け加え、あまり動かず寝たきりの状態が続くと『廃用症候群』になってしまいます。これは寝たきりの期間が長くなることにより、筋肉の低下や関節の萎縮、褥瘡など様々な症状が起こることをいいます。[/chat]
また、高齢になり足腰が弱くなると転倒のリスクも上がります。転倒してしまうと骨折し、寝たきりになってしまう方も多いのです。
今から面倒だからと楽を選んでいると将来寝たきりになるかもしれません。毎日少しずつでいいので足腰を鍛えるようにウォーキングなどを行うようにすることをオススメします。
歯は大切に
意外と気にかけられていない歯ですが、8020運動(80歳まで20本は自分の歯で食べる)があるように歯の健康はとても大切です。人は食べられなくなると一気に弱ると昔から言われているように、経口摂取ができなくなると十分な栄養が採れずに病気になりやすくなります。
また、口腔内を清潔にすることで歯周病や肺炎などの予防にも繋ります。死因第一位の肺炎にならないためにも、口腔内は清潔に保っておきましょう。
禁煙をしよう
煙草は『百害あって一理なし』というように、身体に及ぼす影響はかなり大きいです。煙草により肺癌や舌癌などのリスクがあがります。また慢性呼吸性肺疾患(COPD)などの肺疾患や心疾患(心筋梗塞など)になるリスクも上がります。
肺疾患を患うと在宅酸素が必要になったり、よく聞くのが『常に溺れかけている状態』と呼吸が苦しい状態になります。心疾患の場合、最悪死に至ることもあります。
飲酒はほどほどに
お酒は少量であれば大きな問題が生じることは少ないです。しかし、毎日多量に飲み続けると、アルコール性の肝炎や肝硬変、最悪肝癌に発展します。特に喫煙と飲酒は食道癌のリスクを増悪させます。
怖いことをいいますが、どちらも予後のよくない病気です。お付きあい程度でや家で時々ぐらいが、お酒と上手に付き合っていく方法だと思います。
ストレスを溜めない
あまり自覚はないと思いますが、ストレスを溜めすぎると病気になりやすくなります。
精神的な病気(鬱病など)やストレスが身体的な症状(頭痛や腹痛など)として出てくる場合もあります。未病もストレスと大きく関係があると思います。
毎日仕事などによるストレスはたくさんあります。しかし、上手にストレス発散してる人とそうでない人ではまったく違います。上手にストレスを発散している人は鬱病やストレスによる心身症にかかるリスクは少ないです。
- 誰かに話を聞いてもらう
- 美味しいものを食べる
- 自分にご褒美をあげる など
何でもいいのでストレスと上手に付き合ってみてください。
十分な睡眠をとろう
[chat face="ER看護師.png" name="Natsu" align="left" border="gray" bg="none" style=""]
充分な睡眠は身体の回復だけてなく、精神的な安定も得られます。仕事や子育てなどで睡眠不足になると身体は重たく、なんだかイライラするということはありませんか?
普段ならそんなことでイライラしないような些細なことにも苛立ちを感じてしまったりします。睡眠が充分でないと集中力が低下し、仕事効率が落ちたりします。[/chat]
ある実験で、寝ないでいつまで起きておけるかというものがありました。しかし、途中から幻覚が見え始め、精神的に異常をきたしたため中止になったという例があります。
人にとって睡眠をとることは心身ともに健康になるためにとても重要なことなのです。
まとめ
平均寿命まで生きるとすると、健康であり続けないと約10年もの間自分自身も病気で心身共にしんどくなります。それに加え、家族や周りの人にも迷惑をかけてしまうようになるのです。医療が進み、平均寿命は延び続けています。長生きをするのであれば、健康で元気に自分で自身のことができる期間がなるべく長くありたいですね。
何に気を付ければ、健康寿命を延ばせるのかを今一度見直してみてください。
[box03 title="参考文献一覧"]
- 煙草の影響について - 国立がん情報センター
- 健康寿命とは - 公益社団法人 生命保険文化センター
- 厚生労働省 平均寿命と健康寿命
- 廃用症候群とは
- 国の医療費 - 公益財団法人ニッポンドットコム
- 厚生労働省 - 「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」の報告書及び「健康寿命の延伸の効果に係る研究班」の議論の整理を公表します
- 厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)
[/box03]