薬剤師が教える花粉症におすすめの市販薬10選と賢い選び方

花粉症_市販薬

花粉が飛び始める時期になると、多くの方が市販品を求めてドラッグストアや薬局に足を運びます。しかし残念なことに、ほとんどの方は間違った方法で花粉症の治療薬を選んでいるのです。

パッケージやCMの印象だけで選んでしまう方が多いため、思うように症状が抑えられなかったり、眠気が強く出たりしている方は少なくありません。

どうやって花粉症の治療薬を選べば快適な毎日を過ごせるようになるのか、実際の商品も紹介しながら解説します。

 

目次

そもそも花粉症ってなんでなるの?

花粉症は国民病とも言える疾患で、花粉症を有する人の数は正確なところは分かっていませんが、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした2008年(1月~4月)の鼻アレルギーの全国疫学調査によれば、

  1. アレルギー性鼻炎全体の有病率は39.4%
  2. 花粉症全体の有病率は29.8%
  3. スギ花粉症の有病率:26.5%

スギ花粉症の有病率は10年間でおよそ10%増加していました。スギ花粉症に関する調査では、環境省が2002年から2年間、約5000人の小学生を対象におこなった大規模調査で、スギ花粉症の有病率とスギ花粉の飛散数や両親のアレルギー歴との間に関連があることが認められています。

花粉症の有病率

参考:花粉症とは - 環境省

花粉症の主な花粉

花粉症としてはスギ花粉が原因として有名ですが、他にもブタクサやヒノキ、イネなどさまざまな植物の花粉が花粉症の原因となることが特徴です。

花粉症を発症した方の話を聞くと、「去年まではなんともなかったのに突然、鼻水やくしゃみが出るようになった」と言われる方が多くいます。少しずつ花粉症の症状が出るようになったと言われる方はほとんどいません。その理由は、花粉症発症のメカニズムにあります。

花粉症発症のメカニズム

花粉症とはそもそも、免疫反応が原因で起こるものです。本来は異物でもなんでもない花粉ですが、長期間にわたって花粉が体内に入ってくると、体内の免疫が花粉を異物と見なして、抗体を作り始めます。この抗体の量が一定ラインを超えると、花粉症を発症してしまうのです

花粉症のメカニズム

花粉症のメカニズム

参考:花粉症とは - 環境省

花粉症の発症メカニズムは、コップに例えられることもあります。作られた抗体を水に置き換えてみましょう。花粉症を発症する前のコップは、水位が低くてまだまだ余裕がある状態です。しかし何年もかけて花粉が体内に入っていくと、少しずつ抗体の量が増え、コップの水位が上がっていきます。

引用元:レタスクラブニュース

抗体が増え続けると、ある日を境に水が溢れ出し、どうやっても止められなくなります。このように水が溢れると花粉症を発症してしまうのです。

花粉症の症状が急に出る理由

抗体は異物を体の外に出そうとする働きがあるため、涙や鼻水、くしゃみを出して花粉を体の外に出そうとします。だからあのツライ症状が起きるんですね。

水が溢れ出すまでは症状が出ませんが、溢れるととたんに花粉症の症状が出始めるため、多くの方が「急に症状が出た」と言うわけです。

ではなぜ、花粉症になる方とならない方がいるのでしょうか。またどうして人によって花粉症を発症するタイミングが違うのでしょうか。実は抗体が作られる量もスピードも、そしてもともとのコップの大きさも人それぞれ違うのです。

コップが小さくて抗体が作られやすい方はすぐに花粉症を発症しますし、逆にコップが大きくて抗体が作られにくい方は花粉症にならなかったり、遅くに発症したりします。

このような背景があることから、花粉症を発症しない方もいれば若い頃に発症してしまう方もいるのです。

薬局で花粉症の市販薬を買う際の選び方|着目すべきポイント

[chat face="pixta_43559145_M.jpg" name="木村妃香里" align="left" border="gray" bg="none" style=""]ドラッグストアに花粉症の市販薬を買いに来られる方の多くは、薬を「パッケージ」や「イメージ」だけで選んでいます

そのため、症状を抑える効果がそこまで高くないお薬を使っているにもかかわらず「◯◯って強い薬のはずなのに効かない」と相談しに来られる方も意外と多いです。他に「眠気が強くて困っている」という声も多いですね。

お薬をパッケージでもイメージでもなく効果や特徴で選べば、このような事態はある程度避けられます。[/chat]

1:有名だけど効果がそこまで強くない成分に注意

昔は病院でしか処方してもらえなかったお薬も、近頃ではいくつかドラッグストアで気軽に購入できるようになっています。代表的なのはアレグラFXやアレジオン20、クラリチンEXです。

これら3つのお薬は、花粉症の市販薬の中でもとくに有名ですが、どれも「ものすごく良く効くお薬」というわけではありません。どちらかといえば程よく症状を抑えるお薬だと言えます。

そこまで症状が強く出ていない方なら『アレグラFX』や『アレジオン20』などでも十分に症状は治まりますが、そうでない方が使うと「飲んでいるのに効かない」となる可能性があるので注意しましょう。

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どのお薬なら効き目が強いのかについては、のちほど市販品をご紹介するところで解説するので、そちらを参考にご覧ください。

2:眠気が出やすい成分と出にくい成分を確認

花粉症の薬はどれも眠気が強く出そうなイメージがあるでしょう。しかしすべてのお薬で眠気が出やすいわけではありません。

たとえば、主成分としてフェキソフェナジン塩酸塩が配合されているアレグラFXの添付文書を見ると、眠気の報告はわずか0.5%しかありません。他のお薬を見ると眠気の報告が5%を超えるものもあることから、アレグラFXの眠気がとても少ないことがわかります。

この他にエピナスチン塩酸塩が配合されているアレジオン20や、ロラタジンが配合されているクラリチンEXも眠気が出にくいお薬です。

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もっとも眠気が出にくいお薬はアレグラFXやクラリチンEXだと言われています。一方でこれら以外の成分が入っているお薬だと、比較的眠気が出やすいことが特徴です。たとえばクロルフェニラミンマレイン酸塩は眠くなりやすいお薬としてよく知られています。

3:鼻詰まりや目のかゆみがあるなら飲み薬以外も使う

[chat face="pixta_43559145_M.jpg" name="木村妃香里" align="left" border="gray" bg="none" style=""]鼻詰まりがツライときは「フェニレフリン塩酸塩」や「塩酸プソイドエフェドリン」など、血管を収縮させる成分が入っているものを選びましょう

また、どうしても飲み薬だけですべての症状を抑えることは難しいので、飲み薬以外に目薬や点鼻薬も合わせて使うことが大切です。[/chat]

 

薬剤師が選ぶ!薬局で買える花粉症改善に期待ができる市販品10選

ここからは花粉症の症状を抑えるために使いやすい市販品を10個ご紹介します。眠気が出にくいものから効果が高いもの、目薬や点鼻薬まで紹介しているのでぜひ参考に自分に合うものを選んでみてください。

1:アレグラFX|もっとも売れている市販薬

アレグラ

市販でもっとも売れているといっても過言ではないお薬が、このアレグラFXです。主成分としてフェキソフェナジン塩酸塩が配合されています。

眠気が出にくいことが大きな特徴ですが、効き目がとても強いわけではありません。そのためとても症状がツライ方には向かないとも言えます。

しかし眠気の出にくさと効果のバランスが取れていることもあり、使いやすいお薬として広く使用されています。1日に2回の服用だけで済むのもポイントです。お食事のタイミングに関係なく使えるのも特徴になります。

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2:アレジオン20|花粉症を抑える効果はアレグラ以上

アレジオン

アレグラFXと同様に、アレジオン20も眠気が出にくいお薬として知られています。しかしアレグラFXよりも眠気がやや出やすいことが特徴です。

また花粉症の症状を抑える効果もアレグラFXより少し高くなっています。そのためアレグラFXでは症状が抑えきれなかったけど、眠気はできるだけ出にくいお薬を使いたい方に向いていると言えるでしょう。

1日に1回だけの服用で済むのもポイントです。夜寝る前に飲むお薬なので、朝起きてすぐの症状も抑えてくれます。

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3:パブロン鼻炎カプセルSα|鼻づまり解消ならコレ

パブロン鼻炎カプセルSα

効き目が高いお薬をお探しの方、鼻詰まりも改善したい方にはこのパブロン鼻炎カプセルSαが向いています。血管を収縮させて鼻詰まりを改善する塩酸プソイドエフェドリンが配合されていることが特徴です。

鼻水を抑える効果も高いほうだと言えます。ただし眠気や口の乾きなどの副作用は出やすいのでご注意ください。眠気の出にくさよりも効果の高さを優先する方向きのお薬です。

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4:ストナリニS|効果強め・眠気も起きにくい良品

ストナリニS

ストナリニSも症状を抑える効果が強めのお薬として知られています。鼻水などアレルギー症状を抑えるクロルフェニラミンマレイン酸塩と、鼻詰まりを解消するフェニレフリン塩酸塩などが配合されているお薬です。

[chat face="pixta_43559145_M.jpg" name="木村妃香里" align="left" border="gray" bg="none" style=""]市販品の花粉症薬では珍しいことに、カフェインは配合されていません。カフェインは頭が重い感じを改善する目的で配合されていることが多いのですが、眠気を改善する働きもあります。[/chat]

このカフェインが入っていないので、ストナリニSは眠気がとても出やすいことが特徴です。そのためストナリニSは、カフェインをできるだけ摂りたくない方のうち、鼻詰まりや鼻水などの症状をしっかり抑えたい方に向いています。

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5:アネトンアルメディ鼻炎錠|お口の渇きが出にくい

アネトンアルメディ鼻炎錠

効果が強めのお薬を飲むと気になりやすいのが口の乾きです。もし症状はしっかり抑えたいけど口の乾きは避けたいと思われているのであれば、アネトンアルメディ鼻炎錠が向いているでしょう。

生薬成分が配合されていることもあり、嬉しいことに口の乾きが出づらくなっています。鼻詰まりを改善する成分も入っているので、使いやすい市販品だと言えるお薬です。

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6:クラリチンEX|眠気の出にくさはトップ

クラリチンEX

市販品の花粉症のお薬の中で、1位2位を争う眠気の出にくさが特徴です。とにかく眠気の出にくさを重視する方に向いています。

ただしクラリチンEXは、症状を抑える効果があまり強くありません。そのため症状が強く出ている方が使っても、十分な効果が出ない可能性があります。

またクラリチンEXは、2020年3月時点では第一類医薬品に分類されているため、薬剤師がいる薬局やドラッグストアでしか購入できないことも注意しましょう。

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7:コルゲンコーワ鼻炎フィルムクール|フィルム状で水無し服用可能

コルゲンコーワ鼻炎フィルムクール

効果も高めで鼻詰まりを抑える成分も入っているお薬です。フィルム状になっているので、水なしで気になるときにすぐ服用できます。ポーチに入れてもかさばらない点も嬉しいですね。仕事中や授業中など、どうしてもすぐに症状を止めたいときにとても便利です。

ただし、眠気が出にくいお薬を使いたい方には向いていません。口の乾きも出やすいので、手軽さと効果を求める方に向いているお薬だと言えます

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8:アルガード クリアブロックZ|目が痒いときに役立つ目薬

アルガード クリアブロックZ

目のかゆみも強いのなら、飲み薬だけで対処するのは難しいですので目薬も併用してみてください。アルガード クリアブロックZは、

  • 抗アレルギー成分のクロモグリク酸ナトリウム
  • 抗ヒスタミン剤のクロルフェニラミンマレイン酸塩
  • 抗炎症成分プラのプラフェン

が配合されている目薬です。この他に、目に潤いを与えて保護するコンドロイチンも配合されています。市販の目薬の中でもかゆみ止めの効果が高い目薬です。

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9:ナザール「スプレー」|点鼻してから数分で鼻詰まりが解消

ナザール「スプレー」

薬を飲んでも鼻詰まりが解消されないときは、点鼻薬も使ってみてください。ナザール「スプレー」は血管を収縮させ、アレルギー症状を抑える成分が配合されているので、点鼻してから数分で鼻詰まりが解消されます。

飲み薬と比べて効き目が早いですので、すぐにでも鼻詰まりを改善したい方に向いている点鼻薬です。ただし使いすぎると逆に鼻詰まりが悪化することがありますので、多くても1日に6回までの使用にとどめてください。

また2~3週間使っても鼻詰まりが続く場合は、医療機関の受診をおすすめします。

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10:ナザールαAR|鼻炎薬よりも強い効果が期待!

ナザールαAR

ステロイドが主成分の鼻炎薬です。血管収縮剤が主成分の鼻炎薬よりも強い効果をもつため、鼻水やくしゃみ、鼻詰まりがどうしても止まらない方に向いています。徐々にお薬が効果を発揮し、お薬が効いてくると効果が持続しやすいことが大きな特徴です。

血管収縮剤のような速効性はないので、すぐに症状を抑えることはできませんが持続性の高い効果を期待できます。

ナザールαARのようにステロイドが配合された点鼻薬は、1年のうちで合計3か月以内しか使用できません。そのためこれまでに他の点鼻薬を使っていた方は、成分や期間を確認しておく必要があります。

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まとめ

花粉症の市販品は、病院でも貰えるものから市販にしかないものまで種類はさまざまです。アレグラFXやアレジオン20などは知名度も高く眠気が出にくいのですが、ずば抜けて効果が高いお薬ではありません。

もちろん花粉症の症状の程度や体質によっても効果の出やすさが違いますので、これらのお薬を飲んでも効かなかった方は他のお薬に変えてみるのも1つの手です。

眠気の出にくさを優先するのか、効果の高さを優先するのかで選ぶべきお薬が変わるので注意しましょう。また目のかゆみや鼻詰まりがツライ方は、飲み薬以外に目薬や点鼻薬も併用してみてください。飲み薬だけを使うときよりも症状を抑えられるはずです。

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