【看護師監修】健康診断の前日はどう過ごす?よくある疑問と守るべきポイント

健康診断_前日

健康診断で得られる検査結果には、わたしたちの普段の身体の状態が反映されていなければなりません。健康診断のように前もって検査を受けることがわかっている場合は、検査前に指示された過ごし方をする必要があります。

ここでは健康診断の前日にやってはいけないことや、前日に絶食をする理由、前日までにやっておいたほうがいいことについて紹介します。

健康診断の準備を適切に行い、正しい検査結果が得られるようにしましょう。

[chat face="motiko.png" name="ナースもちこ" align="left" border="gray" bg="none" style=""]アラサー看護師。『保健師資格あり』大学病院の小児科に5年勤務後、ワークライフバランス実現のため保育園へ転職。プリセプターやリーダーの経験あり。子どもが好き。自身の経験が誰かの役に立つことを願いながらライター活動を行っている。ブログURL:https://ameblo.jp/nursearth/[/chat]

目次

看護師が教える健康診断の前日にやってはいけないこと・避けるべきことは?

健康診断の前日にやってはいけないことや避けるべきことについて紹介します。以下に紹介していることは、健康診断の一般的な注意事項です。健康診断を受ける際は医療機関が指定した注意事項を守るようにしましょう。

1:食事、水分

健康診断では最終の食事から12時間以上空けてから検査を行います。午前中の検査であれば、検査前日の21時までに食事を終える必要があります。検査前日は暴飲暴食を控えたほうがよいでしょう。

ただし、いつもは摂らないようなおかゆなどの消化の良い食事を無理にする必要はありません。健康診断は自分のありのままの姿を診てもらう必要があります。普段通りの食生活を心がけるようにしましょう。

水分補給に関して

水分に関しては、少量の水やお茶などの糖分の入っていないものであったら摂取可能です。夏の暑い日は脱水症状を防ぐため、少量の水分をこまめに摂取するようにしましょう。牛乳やスポーツドリンク、ジュースは検査結果に影響を与える可能性があります。

前日の夜9時以降は水やお茶を飲む

同様に、糖分の含まれた飲み物も夜21時以降は避けた方がいいかもしれません。基本的に水やお茶を飲むのが無難です。コーヒーも飲んでもいいですが、缶コーヒーには無糖と書いてあっても糖分が含まれていることがあるので、要注意です。

2:アルコール摂取に関して

健康診断の前日から禁酒をするように指示している医療機関は多いです。お酒に含まれるアルコール成分は血液に溶けて肝臓に運ばれた後、代謝され尿として排泄されます。お酒を飲むことは肝臓にたくさんの負担をかけるので、肝機能の値が上昇し、正しい検査結果が得られなくなります。

アルコールを摂取すると消化を行う胃にも負担がかかり、検査に影響を与える可能性があります。ただし検査前日に禁酒をしたからといってγ‐GTP(肝酵素)の値が急激によくなるわけではありません。

習慣的な飲酒による慢性的な肝臓へのダメージがγ‐GTPとして現れるので、普段からお酒の量には注意しましょう。

3:タバコ

タバコを吸うと胃が刺激されて胃液が分泌されます。胃の造影エックス線検査では検査前にバリウムを内服しますが、タバコを吸い胃液が分泌されるとせっかく飲んだバリウムが押し出されてしまいます。

さらに、胃液の分泌が多くなり胃に胃液が溜まるとバリウムが粘膜に付着しにくくなります。

タバコを吸うと、検査画像がみにくくなり病変を見落としやすくなる。

またタバコは血圧やコレステロール値にも悪影響を及ぼします。健康診断の前日から検査までタバコは控えるようにしましょう。

4:激しい運動

健康診断の前日にランニングや強度の高い筋トレ、テニス、バスケットボール、水泳などの激しい運動を行うと、尿酸値や肝機能をあらわす値が変動したり尿にタンパクが混じったりする可能性があります。

また、たくさん汗をかくと脱水症状がおこり、電解質の値にも影響を与えます。健康診断前日の激しい運動は控えてしっかりと身体を休めましょう。

毎朝のジョギングや筋トレが習慣となっている方は強度を弱めるなどの調整をしましょう。

5:睡眠不足

睡眠不足で検査を受けると交感神経の働きが活発になり、脈拍数や血圧が上昇します。これにより心臓の検査や血圧測定に異常がでやすくなります。また、睡眠不足の状態でいくつもの検査を長時間行うのはしんどくなるでしょう。

普段の生活を送る上でも睡眠不足はよくありませんが、健康診断でもそれは同じです。健康診断の前日から当日にかけて十分な睡眠時間をとるようにしましょう。

6:ストレス、疲労

健康診断前日に大きなストレスがかかる行為や疲労を生じるような行為はなるべく避けるようにしましょう。ストレスや疲労は血液検査の白血球数(WBC)や血糖値に影響を及ぼしたり、血圧が高くなる可能性があります。

たとえ検査値に影響がなかったとしても健康診断は普段やり慣れない検査が行われ、身体に負担がかかります。リラックスして検査を行えるように健康診断の前日はゆっくりと過ごすようにしましょう。

7:月経

女性の場合、生理中に尿検査や便潜血検査を行うと経血が混じり、偽陽性(本当は陰性なのに陽性反応がでてしまうこと)の結果がでてしまうことがあります。健康診断はなるべく生理の期間にかぶらないように受けたほうがよいでしょう。

もし検査前日に生理になってしまった場合は、健康診断の日程を変えたり、影響のある検査を別日に行ったりする場合があります。健康診断を行う医療機関に相談してみましょう。

8:薬の服用

持病の治療で薬を服用している場合、健康診断の前日にも飲んでいいかどうか主治医に確認しましょう。

健康診断の前日に絶食をした方が良いって本当?

絶食をする必要がある検査は、糖代謝を測定する血液検査や、胃や大腸の画像検査です。これらの検査はなぜ絶食をする必要があるのでしょうか。血液検査の前に絶食をするのは、食後の血糖値上昇の影響を避けるためです。

[chat face="motiko.png" name="ナースもちこ" align="left" border="gray" bg="none" style=""]血糖値の基準値は空腹時の状態を前提に設定されています。まれに非空腹時採血を行う場合があるので検査項目をよく確認しておきましょう。空腹時採血の場合は、血液検査の12時間以上前から絶食をすることが多いです。また、胃や大腸の画像検査の前に絶食をするのは、空にすることで検査画像を見やすくするためです。[/chat]

こちらも検査の12時間以上前から絶食をします。ただし、胃のエックス線検査では検査直前にバリウムと発泡剤の内服、大腸内視鏡検査では検査の2~3時間前から下剤として腸から吸収されない電解質液を飲む必要があります。

飲むタイミングや飲み方をよく聞いてから飲むようにしましょう。

健康診断の前日までにやっておいた方がいいことはある?

健康診断の前日までにやっておいたほうがいいことについて紹介します。

1:検査内容を把握する

健康診断の検査内容については事前に説明を受け、説明用紙などを受け取っていると思います。説明を受けた後に一度も内容を見直さずに検査を受けるよりも、検査内容をもう一度見直してから検査を受けることで

  1. 「なんのための検査なのか」
  2. 「どんな病気がわかるのか」
  3. 「どんなことに気を付けたらいいのか」

を知ることができ、より検査結果をいかすことができます。

2:検体(尿検体や便検体)を採取、準備する

あらかじめ自宅で採尿や採便を行い、健康診断日に提出をする場合があります。検体によっては採取の時間や方法が指定されている場合があるので注意しましょう。提出する検体容器は忘れないように前日にカバンの中に入れておきましょう。

うまく採取できなかった場合、採り忘れてしまった場合は医療機関へ相談しましょう。

3:内服している薬を検査前に飲んでいいか確認する

内服している薬の種類によっては、健康診断の数日前から中止しなければならないものもあります。薬を処方をした主治医に健康診断の検査内容を伝え、内服を中止した方がいいか確認しましょう。

また中止しなくてよいと言われた薬でも、健康診断の問診で現在の内服について答える必要があります。

お薬手帳を準備し、どんな薬をいつから飲んでいるのかを把握できるようにしましょう。

4:問診への準備をする

問診では現在気になる症状、今まで患った病気(既往歴)、手術・検査歴、予防接種歴、アレルギー、内服薬、外用薬について聞かれます。気になる症状については、いつごろから症状があったのか、どんな症状なのかを具体的に説明できるようにしておきましょう。

また既往歴や手術歴は時間がたっていると日時や術式などを忘れてしまいがちです。予防接種歴については母子手帳で、内服薬や外用薬はお薬手帳で確認することができます。

5:過去に受けた健康診断の結果を準備する

過去の健康診断の結果は、自分の基準値を知ったり過去と現在の比較をしたりするため重要です。同じ施設で健康診断を受けたのであれば、過去の検査結果のデータが残っていると思いますが、他の施設で健康診断を受けた場合はデータがないので持参した方がいいでしょう。医師の診断の参考となります。

6:検査しやすい衣服の準備をする

健康診断は着脱しやすいリラックスできる衣服で行うとよいでしょう。検査によっては個別に配慮が必要な場合もあります。例えば、心電図検査では電極を足首に装着するため、ストッキングより靴下を穿いたほうがスムーズです。

血圧測定では厚手の長袖や袖口がきつくてめくれないものを着用して測定すると、正しい検査結果を得ることができません。薄手のものかゆとりのある袖の衣服を準備しましょう。

胸部のエックス線撮影では金属(ネックレス・下着など)やボタンのついた衣服は着用できないため、ついていないものか外しやすいものを選びましょう。

7:メガネやコンタクトレンズを準備する

視力検査はメガネやコンタクトレンズで矯正した状態で測定する必要があるため、準備しておきましょう。裸眼での視力や眼圧検査はメガネやコンタクトレンズの着脱が必要なため、メガネケースやコンタクトレンズ用の保存ケースを持参する必要があります。

まとめ

健康診断前日に守るべき点について、基本的なことをお伝えしてきました。どういう検査をするのか?午前に行うのか午後に行うのかなど、検査方法や病院によって細かな点が異なる場合がありますので、詳細がきになる方は病院や勤務先に確認しておくと安心です。

また、血液検査や尿検査は食事の内容によって検査結果に大きな差がでます。また、消化管の画像検査ではお腹の中が空でないと検査ができません。

健康診断は受ける検査に応じて守るべき事項があるので、検査前の説明はしっかり聞きましょう。ただし健康診断は普段の自分の状態を知るための検査ですので、検査前だけ節制して検査値をよくしようとするのは意味がありません。

検査値に影響するような習慣に心当たりがある人は、できることから改善してみましょう。

 

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