健康寿命と平均寿命の違いとは?健康で人生を元気に生きる5つの秘訣

健康寿命_平均寿命

日本人の平均寿命は今もゆるやかに伸びています。世界の平均寿命ランキングを見ても、日本は毎年1位2位を争っているほどの長寿大国です。しかし平均寿命だけが伸びても私たちの暮らしは豊かになりません。

人生を元気に楽しく生きるために重要なのは、平均寿命ではなく健康寿命なのです。今回は平均寿命と健康寿命の違い、健康寿命を伸ばす方法などをご紹介します。

 

目次

健康寿命と平均寿命|寿命の差異と推移

まず健康寿命と平均寿命とはいったい何が違うの?というところからお話をしていきます。健康寿命と平均寿命の違いを知ることで、これまでとはまた違った目線から健康や寿命に関して見られるようになるでしょう。また世界と比べて日本の寿命がどのような位置づけにあるのかを見ておくことで、さらに健康への意識が高まるはずです。

健康寿命とは?

健康寿命とは生活が制限されることなく、自立して暮らしていける期間のことです。健康寿命は、2000年にWHO(世界保健機関)によって提唱されました。

WHOでは健康寿命のことが以下のように定義されています。

Average number of years that a person can expect to live in "full health" by taking into account years lived in less than full health due to disease and/or injury.

引用:Healthy life expectancy (HALE) at birth (years)

日本語にすると

「人が病気や負傷のために完全な健康状態に満たない年数を考慮に入れ、“完全な健康状態”で生きることが期待できる平均年数」

という意味です。

[chat face="pixta_43559145_M.jpg" name="木村妃香里" align="left" border="gray" bg="none" style=""]つまり、寝たきりになったり、誰かの介護がないと生活できないような期間は健康寿命に入りません。「完全な健康状態」と聞くと何の疾患もない状態を思い浮かべるかもしれませんが、たとえ何かしらの疾患をもっていたとしても自立ができているのであれば健康寿命という扱いになります。血圧やコレステロールの値が高くても生活が自立しているのなら問題ありません。要は誰かの手助けがないと生活できないのか、それとも自分で生活できるかの違いです。[/chat]

世界と比べた日本の健康寿命

日本は平均寿命が長いことから長寿大国だとよく言われています。WHO(世界保健機関)が発表したデータを見てみると、世界的に見ても日本は平均寿命とともに健康寿命も長いことが明らかです。

ではここで、世界と日本の健康寿命を見比べてみましょう。以下の表は2018年にWHOが発表したデータにもとづいて、健康寿命の上位20か国を表したものです。

順位 国名 健康寿命 男女平均(歳)
1位 シンガポール 76.2
2位 日本 74.8
3位 スペイン 73.8
4位 スイス 73.5
5位 フランス 73.4
6位 キプロス 73.3
7位 カナダ 73.2
7位 イタリア 73.2
9位 オーストラリア 73.0
9位 アイスランド 73.0
9位 ノルウェー 73.0
9位 韓国 73.0
13位 イスラエル 72.9
14位 ニュージーランド 72.8
15位 ルクセンブルク 72.6
16位 オーストリア 72.4
16位 スウェーデン 72.4
18位 マルタ 72.2
19位 アイルランド 72.1
19位 オランダ 72.1
世界平均 63.3

なんと日本の健康寿命は、WHOに加盟している194か国の中で2位にランクインしています。世界平均の63.3歳を10歳以上も上回る74.8歳という数字を記録しているのです。最下位にランクインしている中央アフリカ共和国の44.9歳と比べると約30歳も長くなっています。

健康寿命の推移

では日本だけで見た場合、健康寿命はどのような推移をしているのでしょうか。平成13年では男性が69.4歳、女性では72.65歳です。これが2010年(平成22年)になると男性が70.42歳、女性が73.62歳となっています。約10年で男性の健康寿命が1.02歳、女性が0.97歳伸びました。

健康寿命は都道府県ごとにも違うことが特徴です。たとえば2010年の男性のデータではもっとも健康寿命が長い愛知県と、もっとも短い青森県とで2.79歳も差が出ています。

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平均寿命とは?

平均寿命とは、0歳の赤ちゃんがあと何年生きられるのかを示した数字のことです。たとえば平均寿命が80歳となっていれば、赤ちゃんは平均すると80歳まで生きられることになります。

世界と比べた日本の平均寿命

ここでも世界と日本とで平均寿命を見比べてみましょう。

順位 平均寿命 男女平均(歳)
1位 日本 84.2
2位 スイス 83.3
3位 スペイン 83.1
4位 オーストラリア 82.9
4位 フランス 82.9
4位 シンガポール 82.9
7位 カナダ 82.8
7位 イタリア 82.8
9位 韓国 82.7
10位 ノルウェー 82.5
11位 アイスランド 82.4
11位 ルクセンブルク 82.4
11位 スウェーデン 82.4
14位 イスラエル 82.3
15位 ニュージーランド 82.2
16位 オーストリア 81.9
17位 オランダ 81.6
18位 アイルランド 81.5
18位 マルタ 81.5
18位 ポルトガル 81.5
世界平均 72.0

2018年にWHOが発表したデータによると、男女平均で見た場合の平均寿命は日本が1位になっています。世界の平均寿命が72.0歳なので日本は12歳以上も平均より寿命が長いということです。平均寿命が52.9歳である最下位のレソトと比べると日本人は30年以上も長生きしています。

平均寿命の推移

1960年(昭和35年)の平均寿命は男性が65.32歳、女性が70.19歳でした。これが2018年(平成30年)になると男性が81.25歳、女性が87.32歳まで伸びています。

日本の平均寿命

参照:厚生労働省|平成 30 年簡易生命表の概況

58年の間に平均寿命が男性で15.93歳、女性で17.13歳も伸びました。ちなみに明治時代の平均寿命は男性で42.8歳、女性で44.3歳です。医療の発達とともに公衆衛生が整えられたことから寿命は昔と比べて大きく伸びました。

なぜ健康寿命と平均寿命に差が生まれてしまうのか?

健康寿命と平均寿命をそれぞれ見て、何か気づいたことはないでしょうか。そう、健康寿命と平均寿命とには大きな開きがあるのです。

平均年齢(歳)
健康寿命 74.8歳
平均寿命 84.2歳
健康寿命と平均寿命の差 9.4歳

2018年にWHOが発表した数字を見ると、健康寿命と平均寿命に9.4歳の差があることがわかります。つまりこれは寿命を全うするまで9.4年間も健康ではない期間があるとも言えるでしょう。

なぜ健康寿命と平均寿命に差があるのでしょうか?

1:日本の医療制度が充実しているから

理由は簡単で、日本の医療制度が充実しているからです。アメリカではかぜの治療で病院にかかると1回で2~3万円もかかりますが、日本なら数千円、下手すれば数百円程度で済みます。日本では国民皆保険制度といって保険料を払っていれば医療費の負担が安く済む制度があるためです。

2020年2月時点では一部の方を除いて70歳以上の方は2割負担、75歳以上なら1割負担で済みます。このように誰でも気軽に医療を受けられる制度があることから、気軽に医療機関を受診して健康管理ができるのです。

2:寿命は延びてもと健康であるかは別問題

しかし「医療機関を受診しやすい環境なら、健康寿命も伸びるのでは?」と思われる方もいるでしょう。たしかにいつでも受診できる環境は、これまで治療できなかった疾患を治すことにもつながります。ですが誰でも医療機関を受診できる=健康寿命が伸びるではないのです。

植物人間状態になってしまった方の治療を何十年も続けて、いつか目が覚める日を待つという話を聞いたことがないでしょうか。植物人間とはもちろん寝たきりなので健康であるとは言えません。しかし心臓は変わらず動いているので生きています。

これは極端な例ですが、医療制度が充実していることで他の疾患でも「少しでも寿命を伸ばすための治療」を受けられるのです。ですが、なんとか伸ばした寿命が健康であるとは決して言えないでしょう。

道徳的な問題があるものの、もし医療費の負担が10割だったら費用の捻出が厳しくて治療を途中で止めてしまう方もいるかもしれません。

このように医療制度が充実していることで治すための治療も受けやすくなると同時に、延命治療も受けやすい状態になっていることが健康寿命と平均寿命の差に関係しています。

 

健康寿命と平均寿命を近づける5つの秘訣

健康寿命と平均寿命の差を近づけられると、それだけ自立した人生を送れる期間が長くなることになります。健康寿命を伸ばすために日本では、健康日本21(21世紀における第二次国民健康づくり運動)という施策が2012年(平成24年)から始まりました。

健康21

公式サイト:http://www.kenkounippon21.gr.jp/

健康日本21でも触れられている内容の中から、私たちが日頃の生活で意識して行えるものを5つご紹介します。

1:生活習慣病を予防しよう

生活習慣病とは、高血圧や脂質異常症、糖尿病などのように日頃の生活習慣が原因となって起こる疾患のことです。日本人の死因の約6割は生活習慣病が原因だと言われています。生活習慣病というと、なんとなく大したことがないように聞こえますがそんなことはありません。病状が進行すると寝たきりになることもあるため、侮れないものです。

循環器系の生活習慣病の進行モデルを図で示すと図表2-1-7のとおりとなる。

不適切な食生活、運動不足、ストレス過剰といった不健康な生活習慣により(1つ目の箱)、糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった内臓脂肪症候群としての生活習慣病にかかる(2つ目の箱)。その後、心筋梗塞や脳卒中に重症化し(3つ目の箱)、最後は生活機能の低下、要介護状態となる(4つ目の箱)。こうした進行を抑えるためには、境界領域期での生活習慣の改善にしっかり取り組むことが重要である。それにより、疾病の発症リスク要因を減少させることができ、生活の質(QOL)の維持とともに、結果として老人医療費の適正化を行うことができる(図表2-1-8)。今後、医療費の適正化を図っていくためには、生活習慣病対策がますます重要となる。

引用元:厚生労働省|我が国の保健医療の現状と課題

2:適度な運動を心がけよう

生活習慣病は薬だけで治療することはできません。血圧や血糖値、コレステロール値を下げるためには日頃の運動も大切です。運動といっても一日に15~30分のウォーキングで構いません。ウォーキングを始めただけで数値が良くなり、お薬の量が減ったり飲まなくてよくなったりすることもあります。

3:食事バランスに気をつけよう

おいしいものほどカロリーが高かったり油が多かったりしますが、健康のためにはバランスが大切です。炭水化物が60%、たんぱく質が15%、脂質が25%というバランスが理想的です。三大栄養素のバランスとともに、塩分にも気をつけましょう。塩分の摂りすぎは血圧が上がる原因です。男性では1日に8.0g未満、女性では7.0g未満を目指しましょう。

4:喫煙・飲酒を控えよう

喫煙は血圧を上げたり肺疾患のリスクを上げたりなど、健康には大きな影響をもたらします。また飲酒も肝がんや肝硬変などにつながる原因です。喫煙はできるだけ避ける、飲酒は1日にビール中瓶1本程度に抑えておきましょう。

5:睡眠をしっかり取ろう

体の健康と同時に心も健康に保つことが大切です。そのために睡眠時間をしっかり確保しましょう。また良い睡眠を取ることは、生活習慣病の予防にもつながります。お昼になると頭がぼーっとするようなら、睡眠がたりていないかもしれません。

まとめ

健康寿命とは、自立した生活を送れる期間のことです。平均寿命も健康寿命も世界的に見ると日本ではとても長くなっています。しかし健康寿命と平均寿命の差を埋めなければ、寿命ばかりが長くなっても人生を楽しめるとは言えません。日頃から運動したり食事バランスに気をつけたりすることで、生活習慣病を予防し健康寿命を伸ばしましょう。

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